店内のネタケースには、とりどりの串がずらりと並ぶ。新鮮で大きなネタが評判と聞き及んでいたが、間近に見るとさすがにインパクトがある。マスター・小野康広さんは朝から仕入れに出向き、一串一串丁寧に串打ちをして仕込みをしているそうだ。一見シンプルな作業に思えるが、じつはこの工程が焼き加減を左右する。「串打ち三年、焼き一生」とよく言われているが、まさにその通りで、見た目も味も最高の状態で提供できるようにと気を遣う。
「なるほど」の“たれ”は父親の代から40年以上継ぎ足し続けている熟成たれを使用。塩は自分の舌が納得するものを独自ブレンドして使用している。侮りがたし、焼き鳥だ。
その上、串もの以外に一品料理も豊富とあって、その味を求めてご常連が足繁く通う。中でも弱火でゆっくりと焼き上げていく“山芋鉄板”は人気のメニューだそう。
はじめは距離を置いていたマスターが、普段滅多に話さないエピソードをポツリポツリと語ってくれた。
若かりし頃はサラリーマン。その後、紆余曲折を経験し、調理学校で調理師免許を取得。
福岡の京懐石店で修行をする。
だが、父親の病気によって店を継ぐ時期が早まった。
美味しい焼き鳥を提供したいという一心で来る日も来る日も焼き台に向かう。幼馴染みからは「おまえは商売人としては絶対ムリや!」と揶揄されたそうで、今ではその言葉が自分を奮起させる良いきっかけになったと懐かしむ。
「親父に、この店のモットーは“安くてネタが大きくて美味い”ことだと言われ続けてきた。だから今でもその方針を変えずに頑張っている。玄海町という小さな町で、地域のお客さんを大切にしながらこれからも続けていきたい」。
料理には物語がある。それを知って食すと、さらに味わいが深まる気がする。
なるほど〜、この店の味は確実に父親の思いを受け継ぐ「お客様に喜ばれる味」。
気の合う仲間とふらりと飲みにいきたくなる、玄海町の焼き鳥店です。
なるほど
佐賀県東松浦郡玄海町新田2085-3
TEL 0955-52-3073
17:00 〜 24:00(L.O.23:00)
定休日:火曜日