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Genkai town

岬の先端にある小さな料理店は昼夜一組限定。 プロのシェフをはじめ錚々たる面々を魅了してやまない 秘境の名店。

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  • #秘境の名店
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仮屋湾をぐるりと囲む岬の先端に、ぽつりと佇む一軒やの料理店。目の前は海、後ろは林。たどりつくためには、店主に船で送迎してもらうしか術はない。ここが昼夜各1組限定の魚料理店「魚山人」である。

まさに秘境的なお店だが、ミシュランガイドにも掲載された名店という横顔も持つ。なんと予約は3ヶ月先まで一杯という状態で、国内外の有名シェフから著名人まで錚々たる面々がこの店で舌鼓を打った。お目当ては贅沢な素材がこれでもかというくらい豪華に並ぶ料理。「足りないと思われるのが嫌。僕はここで生まれ育って、親も定置網の網元。豊かな仮屋湾の恵みをたっぷりと味わってもらいたい」とご主人・吉田博さん。しかし、寿司屋として2008年に開店した当初、3〜4ヶ月は客はゼロ。以降、料理も出すようになり、徐々に口コミで人気が広がった。

話を聞いているうちに、一皿目の刺身が登場。一皿1人前とのことだが、2〜3人前は軽くありそうなボリューム。続いて子持ちイカの煮付け、アワビの酒蒸し、アラカブの煮付け、赤ナマコ、タコのカルパッチョ、蒸し牡蠣、サザエの浜煮、ひじきのキッシュ・・・と続く。まさに海の贅沢素材のオンパレード。種類の豊富さとボリュームに一体何から手をつければ・・・と幸せな困惑に包まれる。

特に定評があるのが、煮魚と潮汁。身の奥までしっかりと煮汁が染み、バランスのよい味付けは奥様・敏子さんの担当。レシピは義母譲りで、吉田家の女性に代々受け継がれている伝統の味だ。また、リピーターが楽しみにする潮汁は海水を精製して汁を作ったもの。柔らかい口当たりながら、自然の塩分が魚の旨味をひきだしている。こだわりは魚介だけではない。使っている調味料も手づくり。野菜も8割は自家菜園から。米も奥様の実家で作ったもの。何もかも、ご主人の目が届いたものばかり。最近では玄海町で4軒農家だけが作っている古代米を使ってみるなど、常に新しい料理へのチャレンジを続けている。
「海のないところで育った人、都会暮らしで海の豊かさを知らない人も多い。ここが”海”をテーマに、世界中の人と交流できる場になれば」と吉田さん。夫婦の温かいおもてなしに、また海を渡りたくなった。

「海のないところで育った人、都会暮らしで海の豊かさを知らない人も多い。ここが”海”をテーマに、世界中の人と交流できる場になれば」と吉田さん。夫婦の温かいおもてなしに、また海を渡りたくなった。

魚山人

佐賀県東松浦郡玄海町仮屋高岩1660-3

TEL 0955-52-2733

12:00〜15:30/17:00〜食事終了まで

※要予約 待ち合わせ場所は仮屋湾の港で

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